結納するときは
結納は日本古来から伝わる婚約のかたち。家や地域によって習慣やしきたりも違います。
- ・地域によって習慣が違う
- ・大きく関東型と関西型に分けられる
- ・正式、略式、簡略式など形式は各種
- ・両家で習慣や形式が違う場合は話し合いで調整
結納は日本独特の婚約の形。二人が結婚するという意志を公にして、二人の間柄を社会に認めてもらうための儀式です。
もちろん口約束だけもOKですが、けじめをつけるために、両親をはじめとして、親戚、友人、職場の人などに対して、何らかの形で公表することが望ましいでしょう。
[時期]
結婚式の6~3か月前の吉日を選ぶのが一般的。挙式までの準備期間の余裕がもてるように設定しましょう。
[日時]
大安、友引の午前中がよいとされていますが、必ずしもこだわるものではありません。
最近は、本人・両親・仲人の都合のつけやすい土曜、または日曜、祝日に行うことが多くなっています。どの場合にせよ、おそくとも夕刻までには結納の儀式が終了できるようにします。
結納の方法は移り変わっています。
かつては仲人が使者となって相手宅に結納品などを届けていました。この方法は往復型と呼ばれ、仲人が、男性宅→女性宅→男性宅→女性宅と、行ったり来たりします。本来はこれが正式の結納方法でした。
しかしこれでは、忙しい現代人にはなかなか難しいでしょう。
そこで、最近行われているのは、女性宅やホテルなどに両家がそろい、お互いの目の前で結納品などを交換する方法です。これならば仲人の負担も少なく、時間や手間が短縮でき、とても合理的にすすめられます。そのほか、両家ともに結納品の用意をせず、婚約指輪と記念品の交換をする方法も主流となっています。
また最近は、仲人をたてずに結納を行う人がふえており、この場合は男性側の父親が仲人に代わって進行役を務めます。
結納金は、嫁入りするための支度金であり、「御帯料」として男性側から女性側へ現金を贈ります。現代では給料の3倍が標準ですが、収入に応じた金額を用意すればよいでしょう。
関東には「半返し制度」がありますが、最近は少なく、7割くらいの人が「お返しなし」になっています。男性側から「半返しはなし」といわれたら、女性側は金包の中がカラになってしまうので、「ご縁がありますように」の意味で5のつく数字のお金(50万円をいただくなら5000円、100万円なら5万円)を入れ、御袴料と目録に記入。ただし、このことは必ず男性側に話しておきます。
仲人は、お見合いから結納までお世話になるのは下仲人と言って、5万~10万円を両家名で包み、「御礼」と書いた結びきりの金包を、菓子折りの上に置いてわたします。
なお、挙式の媒酌人もお願いする場合は、挙式後に結納分と挙式分をまとめてお礼します。
地域によって各種違いがありますが、大きく関東式と関西式に分けられます。関東式は「結納を交わす」といわれるように、双方からの結納を交換。関西式は「結納を納める」というように男性側から送るだけになります。
関東式は男性側から結納品に対して女性側は同等か半額程度の結納品を返します。関西式は女性側から受書だけを返すのが一般的です。
両家で習慣や形式が違う場合には、お互いに話し合いで調整しますが、結納品は女性宅に飾っておくものですから、女性側のしきたりに合わせてあげたいものです。
Q. 仲人や証人の役目はなに?
A. 二人で決めた婚約を、より正式に社会的なものにするためには、第三者に認めてもらう必要があります。不幸にも婚約中にトラブルが発生して破談になった場合も、法的に有効な証人となります。
Q. 実家が北海道と九州のカップルは、どこで結納するの?
A. 男性側が女性側へ出向くのが一般的。男性ひとりが女性宅へ出向く場合もあります。最近は、両家が一ヶ所に集まり、結婚式場やホテルを利用するケースが多くなりました。会場で祝膳なども用意してもらえます。
Q. 結納のときの交通費はどうすればいいの?
A. 交通費がかかった場合は、かからなかったほうが食事代を負担するなどしましょう。
ただし、仲人には「御車代」を渡します。下仲人には、「御車代」と表書きをした金包を「御礼」に重ね(御礼が上)、結納後に。また、媒酌人もお願いする場合は、結納後は「御車代」だけわたします。この費用は双方で折半しましょう。
結納品は関東式と関西式でデザインが異なります。両家相談して、数や金額などを決めましょう。
- ・結納品目は9品、7品、5品と奇数。
- ・結納品のレベルが同じになるようにセットで求める。
- ・関東式と関西式では、結納品の形が違う。
九品目をそろえるのが正式。各品は、長寿、健康、家と子孫の繁栄にちなんだものです。女性側からの結納品は、男性側と同じか、少なくします。女性側のほうが豪華になっては相手に恥をかかせることになるので、事前に打ち合わせをしておきましょう。
地域:関東と関西で形も飾り方も異なります。
結納品は、飾り方、金額、取り交わし方、目録の書き方など、地域によって違います。関東式は一式を白木の台にのせ、目録をそえます。すべてをのせるため縦長で平面的になります。対する関西式は一品ずつ別々の台にのせ立体的な水引きや飾りがつき、とても豪華。式自体も中部、関西以西は豪華に行われます。伝統的な約束ごとであり、それぞれの文化、習慣が大切にされているので、どちらのやり方で行うのか決めましょう。
後々まで残るふたりの大切な記念品として婚約指輪を贈るのが一般的となっています。ダイヤモンドの指輪が人気ですが、正式には女性の誕生石の指輪を贈ります。最近は40万円程度の指輪が多く、女性はその半額程度の記念品を男性に贈ります。
部屋の上座に当たる場所で、床の間に飾ります。和室のない場合は、サイドボードや部屋の上座に台をしつらえて、その上に飾ります。挙式後に下げて、目録と受書を記念に保存しておくことが多く、そのほかのものは処分。神社やお寺で玉串料をそえて燃やしてもらいます。結納から挙式まで日数のあるときは、結納後10日間、挙式前10日間だけ飾っていいです。
結納品の包み方:結納品を運ぶ場合は、片木盆ごと新しいふろしきに包む。このときお弁当を包むような結び目はつくらない。これは結び目をほどくことをきらうため。
婚約指輪は、結納品を並べた白木台とは別に指輪飾の台を用意。指輪を入れた箱は2枚重ねの奉書紙に「寿」と表書きして、紅白か金銀の水引をかけ、贈り手の名前を書く。目録には「御帯料 結美和付け壱封」と記す。結納品を略式にするときは、品目数が奇数になるように減らし、七品目、五品目、三品目と。どの場合でも、長熨斗、目録、金包が含まれる。なお飾る順番はとくに決まりはないが、どんな贈り物でも、のし上は右上(一番最初)にあるものだから、結納品の右端にはやはり長熨斗を飾るのがいい
目録と受書はビジネスにおける「納品書」と「領収書」結納品とともに取り交わします。
- ・必要項目が印刷された市販の用紙を使うのが一般的。
- ・差出人とあて名は両家の父、または婚約者本人とする。
- ・薄墨ではなく必ず濃い墨で書く。
正式な結納には、結納品のほかに目録と受書が必要です。目録は結納品名と数量を列記した送り状、受書は結納品を受け取ったとする受取書。ビジネスにおける「納品書」と「領収書」に当たります。奉納紙に濃い墨で書き、三つ折にして「目録」と表書きします。市販の結納セットには印刷されているものがついており、これを利用するのが一般的。
(目録)
関東式では双方で用意 関西式は男性側だけ
結納品を列記した送り状。「一、御帯料 壱封 一、勝男武士 壱台・・・・・・」と墨書で列記し、最後に「右の通り幾久しくめでたくご受納ください」と書きます。日付は結納の日とし、両家の父親の名前を明記します。
地域:関東式では双方が結納品を取り交わすため男性側と女性側が用意します。男性側が納めるだけの関西式は男性側だけが用意します。
目録の書き方:初めに「目録」と大きく書く。1行目は空白になっているので、金包として男性側は「御帯料」と書き、女性側は「御袴料」と書く。以下、結納品を並べた順にしるす。「一、○○○」と列記。末尾は「・・・・・・ご受納ください」とする
受書の書き方:初めに「受書」と大きく書き、以下、目録に従って品目を列記する。末尾に「・・・・・・受納いたしました」とする。先方が「女性側の結納品はなくていい」といった場合は、受書セットを。
(受書)
結納品を受けたことを記したもの
受書とは、結納品をたしかに受け取りましたとするもの。かつての往復型結納の場合、仲人が相手方の結納品を届けてくれるので、この受書が必要でした。いまの同時交換では、男性側から「女性側の結納品はなくてかまいません」といわれた場合は、「受書セット」を贈ります。
(家族書・親族書)
新たな親戚関係をつくるために家族を紹介するもの
結婚が家と家との結びつきと考えられていた昔は、姻戚関係を結ぶための同意書のようなものでしたが、いまは要望があった場合に家族紹介として交わされます。家族書は、同じ名字の家族を年長者から祖父母、父母・・・・・・、最後に「本人」として婚約者本人の氏名を書き、「以上」と結びます。親族書は、年長者順に父方のあと母方を三親等まで書きます。
人数の少ない家族では、家族書と親族書をひとつにまとめて記すことが多くなっています。「家族親族書」として1枚にまとめて氏名を書き入れます。
これも重要:名前は間違いなく!旧漢字や略字などは要注意
氏名を書くとき、「渡邊」を「渡辺」、「中嶋」を「中島」などと書いてしまわないよう、旧漢字、略字づかいは要注意。とくに姓が変わった姉妹や親族の名前は間違いやすいので注意します。